2日間とても良い場があって、作品もいつになく光っていた。
その前の週もかなり良かったり深かったりしたので、
1ヶ月ほどこの流れが続いていた。
エネルギーが溢れるように湧き出て来る時でも、
流れの良い時はどこか遠いところから見ているような感覚になる。
どうも作家達もそういう瞬間があるみたいだ。
とてもクリアで明晰で、瞬間に敏感に反応出来ているのにぼーっとしている感じ。
深い場が続く時はやはり眠りが深い。何の夢も見ない。何の記憶もない。
昨日は眠ったというより、気を失っていた。
気がつくと朝。
その前までのすべてが消えて、スッキリする。
ここからはまた新しい。
そうだテレビを見た。
途中からだったが素晴らしかった。
日曜美術館の特別編だったのだろうか。
染織家の志村ふくみが特集されていた。
全部良かったから、何処がとは言えないけど、やっぱり色って凄いなと思う。
色は命だし宇宙だし、人間のさかしらを超えた何かなのだと、
そしてそれを言葉ではなく肌で知っている人なのだと感じた。
志村さんのような人こそ、何かを知っている人だ。
志村さんの言葉や姿や、
そして染めた着物が背景の自然と一体化している場面に感動。
あの音楽は何とかならないのだろうか。
あんな「感じ」とか「雰囲気」とは全くかけ離れた本物が目の前にあるのに。
最も印象に残ったのは、というかもっと自分が分からなければならない、
と感じさせられたのは、
「人間よりも植物の方が位が高い」という言葉だ。
記憶だけで書いているので間違っているかもしれないが、
志村さんはそのように言っていた。
欲と言ったのだったか我欲だったか、
とにかく、そういった小さな頭や意識の世界に生きている人間に対し、
植物はただただこの宇宙の摂理に忠実に、ひたむきに生きている。
その営みの厳粛なる姿。
志村さんは本当に植物を尊敬している。
このように書いても、
志村さんのぽろっと出て来る言葉の豊かさに届くどころか、
擦りもしないのが残念だが、実際にご覧になられた方はその世界に触れたと思う。
制作の場に入る時、僕達にも必要なのは我を離れ、
自然界や宇宙の摂理に忠実であること。
遥か先を見ておられ、歩いておられる方々が居る。
及びもつかない。
でも、どれほど遠くても、目指すものが遥か彼方であろうと、
今歩いている道が間違っていないことだけは確かだ。