2013年1月6日日曜日

ちえちゃんのピアノ

今日の朝日はとてもきれいで、
アトリエの二階は金色に染まっている。
犬の散歩の時間は日の出だったので、ぼやっとしたオレンジだった。
歩きながら昨日、見ていた色だなと一体感を味わう。
絵具の減り方は不思議で、集中してなくなる色がある。
昨日の場合はオレンジだった。
他の人の絵に影響を受ける事はほとんどないし、
それに別のクラスに変わっても同じ色調が増えていく。
彼らは共通して何かを感じ取っている。
それを自然の奥にある何者かだと考える。

昨日、寝る時に聴いていたピアソラの音楽が頭を離れない。
ピアソラはやっぱり夜だ。

少しづつ、改善して行こうと思うのだけど、
手始めに、小さな事だけど待合室の本棚の中を変えようと思う。
来週のクラス位には整っていると思うので、
待合室をご利用の方はご覧になってみて下さい。
これまでは主に思想というか哲学というか、
ここでの実践に関係する考え方に繋がる本を置いていた。
今後はもっとダウンズタウンの空間を具体的にイメージ出来るような、
ビジュアルのある本を置きたい。
良い空間、心地よくて、誰もが訪れたい場所をイメージしていただきたい。
ダウン症の人たちの調和的センスが人々を癒すというような。
人が安らぎ、再び訪れたいという場を考えていくと、
幅広く様々なジャンルが参考になる。
カフェやリゾート施設や建築や観光やレストラン、温泉など。
その場所が良い場所で、人が集まって、それぞれが生きる活力を得ていく、
ということでいうなら、これらに加え、神社、仏閣といった信仰の場や、
森や海という自然も含まれていくだろう。
エネルギー、循環、食も大切な要素だ。
それらが良いバランスで一つになればいい。
そんなことを少しイメージ出来る様な本を置いていくつもりだ。

アトリエの中ではピアノをもう一度置くことにした。
狭いので残念ながら電子ピアノだけど。
早速、みんながピアノを弾いている。
印象に残っているのはゆうすけ君の弾き語りとか、
昨日のあんなちゃんともえちゃんの連弾。
音楽として素晴らしい。不思議な魅力がある。
はるこさんやちえこちゃんは普通に弾けるのだけど、
音が柔らかくやさしい。

今回のタイトルになっている「ちえちゃんのピアノ」はやまと君の絵の題名だ。
やまと君とちえこちゃんは本当に仲良しで、
喧嘩したり、好きなことを言い合ったりしながら、
いつもお互いを気にかけている。
昨日もちえこちゃんがピアノを弾きだすと、
やまと君は「はーあ、またはじまったかあ」と興味なさそうにしている。
全く聴いていない様な素振りで黙々と絵を仕上げていく。
使われている色は三色だけ。やさしく色が重ねられている。
この三色だけでこんなにきれいに豊かに見える。
描きおわるとこちらを向いて、「出来たよ。ちえちゃんのピアノ」とつぶやいた。
2人は本当に分かり合っているのだなあ、と思う。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。