2013年1月25日金曜日

珈琲屋

気がつくと日の出や朝日のことをいっぱい書いているが、
それでもやっぱり言わずにはいられない。
今日の日の出も素晴らしかった。
まだ誰もいない商店街の通りを光が貫いていく。
建物の間から、コンクリートに重なるように、木の葉の隙間から、
いたるところに、間をおきながら、光がゆれている。
今日は風が見える様な気がする。

靴によって歩く感覚、地面を蹴る感触が違う。
まだ、ベストな靴に巡り会ってはいない。

光のゆれ、風の動き、風景の流れ、
心の中の景色、昨日見た夢、数日前の教室。
みんなと交わした会話や笑い。
夜に聴いていた音楽。
リズム、リズム、リズム。

絵具を作りながら考え事をしていた。珍しく。
ふと机の引き出しを開けると紙が入っている。
鉛筆で「どりメダル」とだけ書いてある。
どりメダルっていったいなんだ。
一人なのにくすっと笑ってしまう。

なるべく、納豆を食べている。
あとは、もずくや梅干しやみそ汁や‥‥
足湯や半身浴をして身体を温める。
健康第一と思っているわけではないのだけど、これもリズムに入るため。
続ければ良いのだろうけど、一つでもなかなか続けていくのは難しい。

ところでよし子のブログの写真にあったけど、
あのCDに書いてある「その男CD」ってなんだろう。
これにもくすっと笑ってしまう。
なんでこんなに面白いことが多いのだろうか。

昨日の続きだけど「abさんご」を読みながら、
最後に来てどうしてもこれを落ち着いた良い場所で読み終えたい、
という気分になってしまった。
それで徒歩圏内にある珈琲屋へ散歩がてら向かった。
僕の一番の趣味は散歩だ。
ところで、ここをなんで喫茶店でもカフェでもなく、珈琲屋と書いたかと言うと、
このお店はコーヒーに関わるほぼすべての業務を行っていて、
場の提供だけがメインではないからだ。
何年も通っているが、最近、ますますこの店が好きになってきた。
コーヒーに関しての考えは個人的には僕の趣味とは方向性が違うけど。
それでも、ここで教えられた味覚の体験も多い。

本を読みながらボンヤリしていると、
書かれている世界の時間に入っていく。
この場所自体がこの小説に書かれている時間のように感じられる。

対応してくれた店員に注文したいコーヒーについて少し聞いたのだけど、
奥に戻ってからスタッフ達の会話が聞こえる。
店員とスタッフという2つの呼び方をしてしまったが、
この店はスタッフという感じかもしれない。
それで、さっきのスタッフが先輩に注意を受けている。
説明の仕方がダメだと。
その先輩スタッフはかなり明確に、どこがどうダメで、
何を心得ておかなければならないか、説明している。
この店はスタッフ全員が真剣に考えて仕事している。
流石だ。
アトリエもこういう組織にしていきたい。

先輩スタッフの注意は長い。
しばらく、何気なく聞いていて気がついた。
この同じ様な状況は一年前にも見たぞ、と。
更に、2年前も見たかもしれない。
そうすると、このスタッフは成長していないのだろうか。
決してそんなことはない。
以前より対応も良くなっているし。

そう、やっぱりしっかり教えること、
真剣に伝えることも大切だと思う。
一人一人が真剣に挑むからこそ、
教えなければならないこと、伝えなければならないことが出てくる。

これがまたいいのだけど、2人のやり取りを穏やかに見守る女性スタッフがいる。
注意をしている方にも、されている方にも、
その女性スタッフはやさしい眼差しをおくって、
でもまじめにやり取りを見ている。決して口出ししない。
2人共に対して本当の愛情を示している。
この3人の関係が素晴らしい。
この途中でさらにオーナーも登場するのだけど、
この人は一通り自分の店を見渡して、置いてあるものを確認すると、
「味には問題ない?」とスタッフに聞く。
「味は大丈夫です」という答えを聞くと、うなずいてそのまま出て行く。

良い店だなあと思う。
同じ目標に向かって、一緒に向上していく意識が共有出来ている。
それが組織のあるべき姿だ。
みんなが幸せにならなければならない。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。