少し前に教室中、1人の生徒が僕の手を持ってきた。
しばらく委ねていると、僕の小指を引っ張って自分の小指と絡めた。
いわゆる指切りげんまんの形。
そして、僕を見て頷く。「分かったよ」と僕は言う。
こういう約束は僕は必ず守る。
どうやって守れば良いのか。何を約束したのか、言葉もないのに。
それはこころとこころで感じ合うしかない。
それが、一番大切な約束だ。
この生徒の場合、かなり長い間、病んでいた。
今でも完全に快復した訳ではない。
だから、この動作には大切な意味がある。
同じ日に今度は別の人から、手を握られ、手のこうにキスされた。
彼は男性だが、彼も長い苦しい時期を経験してきた。
明るく楽しく、平和なアトリエではあるが、メンバーの中には、
社会の中で、周囲の無理解の中でこころを病んでしまった人もいる。
彼らとの無言の約束を忘れてはならない。
自分の持つすべてを使う事を、書いた。
義務や責任を果たす事を書いた。
それらは決してただの重荷ではない。
そういった一つ一つを実行する事が、必ず喜びにつながる。
もう一つ大事なのが約束だ。
本当に厳しい状況にある時は、もうどんな動作も出ないという人もいる。
どこへ行っても何も出来ない。
そんな中でアトリエで絵を描くことが出来たりする。
(あくまで、例であってそんなに上手くいく事ばかりではない)
なぜだろう。
一つには僕自身で言えば、相手の信頼を裏切らない。
その形としては約束を守るということを、実行していく。
このブログで、これまでに書いて来たような心構えの一つでも自覚的に使えば、
困難な状況にある時、必ず乗り越える可能性につながる。
何かを変える、状況をよりよくすることが出来るはずだ。
今は社会全体が困難な状況にある。
こんな時に、何が出来るかが肝心だ。
自分のことを思うと、根が強く出来ている。
逆境を楽しむし、困難に挫けることはない。
迷うこともほとんどない。悩む時間があったら、少しでも状況にアプローチしてみる。
どうすることも出来ない時は、出来ることだけ迷わずする。
攻撃されても無理解にさらされても、簡単に意見を変えることはない。
人間関係の政治力に左右されることもない。
そんな僕でも、生きているのは本当に辛いことだなあと思う時がある。
約束を守り続けることに疲れる時もある。
でも、続ける。すすみ続ける。
そこから何かが変わっていく。
「もういいよ。ここでいいからここにずっといるよ」と言って、
立ち止まっている人達。
それがこれまでの友であったりする。
つらいことだけど、前に進み続けなければならない。
この世に生まれて動き始め、進み始めた以上は、留まってはならない。