2011年12月5日月曜日

調和

1、3日曜日午後クラスのみなさんから、出産のお祝いをいただきました。
ありがとうございます。

今日はよく晴れた。
土曜日のアトリエはたくまくんとあみちゃんが、自分の色をもって、
自分のスタイルが出来て来たなと思った。
たくまくんは描くのが凄く早いが、短い時間にぎゅっと凝縮された集中力と、
感覚の開放感がすばらしい。
やまとくんは早い時期から作風が確立されている。
ちえこちゃんは前回から少し雰囲気が変わって、前のスタイルもでちらも良い。
午後はえいたくんが、用事があって少し早く来る。
30分しか時間がないのに5枚も描く。
さすがはベテランの安定感。もう20年も描いているのだから尊敬する。
もえちゃん久しぶりのお休み。
だいすけくんは2人居る。こちらのだいすけくんは、始めてきた時に、
自分の事を三刀流の使い手だと紙に書いたので、みんなに三刀流と呼ばれている。
アトリエではただ1人、黒ペンと定規と鉛筆と絵の具を使って、
看板やポスターのような作品を描く。
道具を交互に器用に使っていく姿は職人のようだ。
これが三刀流の描き方かあ。
ハルコさんは最近、ゆりあのことをドキンちゃんと呼んでいて、
自分はバイキンマンで2人コンビだと言う。
作品のテーマもドキンちゃん、ゆりあの登場するものが多い。
お家も出てくる。凄いのはハルコさんは自分の画面をもっていて、
そこからドキンちゃんが何をしているのか、いつでも見えるらしい。
この前の「太陽描いたから暑くなっちゃった」発言につづき、
今回はパンを描いて「味がして来たー」と言う。

日曜日クラス、さとやんやっぱりすごいなあ。
特に前回と今回はノリにノッている。
なっちゃんの「パパ」シリーズもきれい。パパを描き続ける姿もかわいい。
女の子もいいなあ。
マーくん、「スーパーロボット」シリーズ。
上手くいくとガッツポーズしてみんなに見せる。丁寧に色を重ねる。
いつも終わった後はカードにも同じテーマを描いてもって帰る。
まあゆちゃんはお休み。いつも絵が終わるとお母さんになって、
粘土で料理を作ってくれる。「お父さん、早く帰って来なさい」と
いつも怒られる。今回はお母さんがいなかった。
午後はえいこちゃんがお休み。
けいこちゃんはいつもハイテンション。
絵もあかるいし、元気いっぱい。テーマも面白い。
なんと今回は、ペットボトルのフタというのまであった。
くわたけいすけが大好き。
すぐるくんにずっと「くわがたけいすけはさあ」と言われて、
「クワガタじゃないよ!クワタだよ!」とくり返していた。
すぐるくんの方はみんなの事が本当に大好きで、
いつもみんなの話を楽しそうに聞いている。
とくに男同士でてるくんと向かい合っていつもお話しする。
今回は最後にてるくんと共通の好みのディズニーランドの絵を描く。
シンデレラ城に花火が舞っている。
てるくんもいつも凄いけど、今回は8枚も描いた。
テーブルいっぱいにてるくんの絵を並べると、一つの世界が出来上がる。
アトリエ全部がその空間に包まれる。
軽やかで明るく楽しい気持ちと、やさしさにあふれた素敵な世界。
ゆうりくんは絵が本当に良くなったが、最近はお話も楽しむ様になった。
けいこちゃんと歌を歌い合って、みんなに「うるさい」と言われて、
笑っている。「うるさい」と言っている人達も笑っているから面白い。
日曜日は久しぶりに元学生チームのアカネエさん(ハルコさんのつけたあだな。本当はあかみねさん)が来てくれた。お友達のおかだくんもいい人。

出産前のドタバタで通っていた歯医者さんに行けなくなっていたら、
治療中の歯が痛みだした。そろそろ時間を作って行かなきゃ。

最近、本当に深く感じている事だが、宇宙も人のこころも、
自然に調和に向かって行く、というのは凄いことだ。
この世界のバランスは、ほんの少しでも狂っていては成り立たない。
丁度良いバランスに絶えずあるというのは、神秘以外の何物でもない。
すべては調和に向かっていく。すべてはバランスを保つ方向へ行く。
凄いことだ。
この単純な神秘が、彼らの作品の最も深くにある秘密だ。
以前、多摩美と共同で発行した冊子には「調和を求めるこころ」と書いてある。
この言葉は編集の方がつくった概念だ。
僕が元になる原稿を書いた時には、「調和するこころ」としか書かなかった。
細かいところだが、調和を求めると調和するでは意味が異なる。
調和を求める?
少し違和感がある。
ダウン症の人たちの作品には調和的な世界が現れているが、
調和を求めている状態が描かれている訳ではない。
調和を求めるのはあくまで私達の側なのではないか。
調和がそこにある時、調和を求めることは無い。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。