2014年10月2日木曜日

昨日の美術館で

昨日は都民の日ということもあり、多くの方にご来場いただきました。

しょうぶ学園のドキュメンタリー映画を見せてもらった。
その後、福森さん達の講演も聞かせてもらった。

映画では素敵な場面が沢山あった。
福森さんは照れ隠しでいろいろやっているけれど、やさしくて正直な方だ。
肝心の音楽や外へのアプローチの仕方は共感出来ないけれど、
それを楽しむ多くの人がいるのだから、それはそれで良いのだと思う。

福森さんと出会えて良かったと思う。
そして今回の展示ではしょうぶ学園さんとご一緒出来て本当に良かった。
作品の違い、アプローチの違い、環境の違い。
根本にあるのは対象となる人達に何を見ているのか、という部分だと思う。
決定的な見解や解釈に違いがあると思う。
たぶん良い悪いの問題ではなく。

映画の中の福森さんと障害を持つ人達との関係が奇麗で、
こころに響く瞬間がたくさんあった。

そう言えば、お世話になった共働学舎も間もなく映画となる。
嬉しい気持ちと、やっぱり不安が残る。
自分が昔居た場所だと複雑な心境だ。

いずれにしても、人と人が繋がること、
それも必ずしも一つの世界だけがあるのではなく、
違った世界があって、そこが繋がることで新しいものになって行く。
そんな共生の在り方に時代は向かって行かなければならない。

僕らは福祉ではないので同じような活動は他にはないだろう。
だからこそ他の活動とも繋がって行きたい。
その上でここでしか出来ないことをしっかりとやっていく。

昨日、僕に話しかけてきたおばあちゃんがいた。
しんじ君の会場内で制作した大型の作品の前で涙が出たと言う。
若い頃に美術をされていた。
すっかり普通の生活になって、様々なことを経て歳を重ねた。
趣味は美術館を巡って絵を見ること。
しんじ君の作品を見て、美に触れた時の新鮮な感動が甦ったと言う。
これまで見た作品で一番感動したとも。
何度も何度もありがとうと仰っていた。
たくさん生きて来なければ、様々な経験を重ねて来なければ見えないもの。

こういった方々の心に響くということが、彼らの作品の特質だと思う。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。