2014年6月23日月曜日

ピンク色の光

忙しくなって来ると空白の時間も何かしていないと、
間に合わないような気がして来る。
何にもない時でもやることがたくさんあるような気がしたり。
でも、結局少し休んでから進めた方が早かったりする。

さっき、スーパーからの帰り道に見た景色は一体なんなんだろう。
幻のように神々しかった。
それはわずか5分位のことで、
ずっと見ていたのにいつ消えたのか分からない位、自然に現れ、消えて行った。
最初は紫の濃淡が光っていてやがて、光に滲みが出て来て透明なピンクになった。
その頃が一番きれいでもっとも濃く、最も薄い不思議な色だった。
色と言うか光だった。

色んなことを考えていたと言うよりは思っていた。
僕達は真剣に価値のあることを実現させようと努力して来たことは確かだ。
そして、自分が今選択している方法に迷いはない。
外部への発信から始まり制作の場と言う基本に至るまで、
本当のところ、現在多くの人が求めている形とは違っているとさえ思う。
決して多数派ではない。
でも、誰かがこういうアプローチをとらなければならないと思う。
いずれは本当の理解が得られる日が来るだろう。
信じてくれる方、応援してくれる方、これだからアトリエは良いと言ってくれる方、
そんな方々の想いも背負っている。

今後も妥協やブレがないようにしていきたい。

ただ、一方で全く葛藤がない訳ではない。
もっとこうしたいという気持ちもある。

制作の場に関しても多くの方が必要として下さっている。
絵を見て下さいと言って下さる方が何人も居る。
小さなアトリエで見られる人数も限られているし、
僕自身も外での仕事が多くなっている。
お会いしてお話しして、少しでも希望を感じてもらって、
メールでのやり取りをしたり、繋がって行けるようには努力している。
それでも、制作に直接関わってあげられないのは歯痒くもある。
よし、おいで、一緒にいっぱい絵を描こうね。
見せてね。教えてね。と言えないことが残念だ。
僕はもっと制作の場を見る仕事をした方が良いのかも、とも思う。

他の環境があまり良くないことは分かっているということもある。
だから良い環境を増やす、良い人材を輩出するという仕事もしたい。

作家達の持つ素晴らしい世界を考えたら、
今進めていることは全て不可欠で、最も彼らに相応しいことだと確信している。
それでも、やっていることの本当の意味を、
今一緒に共有出来たらどんなに素敵なことだろうとも、やっぱり思う。

そんな想いを行ったり来たりしている時に、
ピンク色の光に出会った。

本当に美しく、光の中に包まれ行くようだった。
世界が突如輝く瞬間がある。
もっともっと計り知れない何かを見せてくれたな、と思った。
美があるから、そして美は生命を動かすから、
単純にそこだけを見て行けば良いと、今日の景色が教えてくれた。

ピンク色の光は、やっぱりどこか懐かしくて、
やっぱりそれはダウン症の人たちの描く世界と同じものだった。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。