2012年12月9日日曜日

タイトル無し

毎日寒いけれど、今日はいちだんと冷え込む。

今日はどうしようかな、と思っていたが書くことにした。
来週は事務作業が忙しくて書けないと思うし。

ところで、何でも見たがる人というのは、
あれはいったい何がしたいのだろう。
見ればなんんでも分かると思っているのだろう。
そういう人にかぎって、「確かにこの目で見たんだ」とか言って、
見たものを妄信する。
この目で見たからと言って真実とは限らないこと位は知った方がいい。

社会全体がこの「見ること」「見えること」に偏りすぎている。
恐らく、こんなことを書くとなんのことを言っているのか分からないだろうが、
分からないのはそれこそ、見ることが当然で、
見えない状況で感じとろうとした事のない証拠だ。

視覚は便利だが弱点が多い。
離れたものに触れずに、認識することが出来るという便利さはある。
それは全体を把握する場合や、危険を避けるのには有効だ。
だが、触れずに認識するということが、そのまま欠点でもある。
見ることは支配することに近い。

この調子で書いていくとまたテーマが大きくなりすぎるのでやめよう。

絵画全体でも言えることだけれど、
特にアトリエ・エレマン・プレザンから生まれている作品は、
視覚だけに頼って見るより、他の感覚も開いて感じとっていく方が良い。

ものを見る眼差しはその人のこころをよく表している。
謙虚な人、やさしい人は、目を閉じる場面も知っている。

小さい頃に大人によく言われた経験があるだろう。
相手の目をみなさい。相手をよく見なさい。
それが誠意を表すことの様に。
それは場面によっては確かにそうなのだけど、必ずしも正しいだけではない。

特に僕みたいに人のこころとずっと向き合っていると、
「見ること」に対してはかなり自覚的になる。
視線は暴力にもなりうる。
じっと見ることが誠意を伝えたり、なにか真剣なものを伝える力になりうるが、
始終そうしていたら、必要な場面での目の力を失う。
特に人がこころの奥にあるものを動かそうとしだしたら、
最大限のやさしさを示しつつ、目で見ないことだ。

見てはいけないものを見てしまったという言葉がある。
見てはいけないものというものがある。

外を歩いていると、その辺を撮影しているテレビの人や、
カメラをカシャカシャ撮っている人がいる。
素人でも多い。
その辺を歩いている人達に一人一人、「撮影していいですか」とか、
確認をとる訳にはいかないいだろうけど、
何でも見ていいという権利をいつ誰が与えたのだろう。

育ちが悪かったせいもあるが、
僕らの子供の頃だと、相手をじっと見たら殴られても仕方ない。
それは、そういう地域の子供の世界だろうが、
例えば、熊に会ったら目を合わせてはいけないと言うではないか。
動物がそうであると言うことは、人間も本能的には見られることに、
何らかの恐怖を抱いているはずだ。

これは何も視覚の話だけをしている訳ではない。
こういう当り前と思い込んでいることに、もう少し意識的になることだ。
謙虚になり、配慮すると、実は自分が豊かになれる。

アトリエでは見学者に、
「制作している人の背後に立たないで」という注意をする。
こんなこと言わなくても、感覚が正常なら分かるはずだ。
座って繊細になって制作に入っている時に正面からみつめられたり、
言葉もなく背後に立たれたら、どうだろうか。

と言いつつも僕は背後に立つこともあるし、正面から見ることもある。
これは変な言い方かも知れないが、僕だから出来ることだ。
自分の気配や相手への影響をコントロール出来るから、許される行為だ。
他の人は絶対にやってはいけない。
何事もそうだけど、自分の行為の結果に責任を負えることだけすべきだ。

そういえば、ここで書いて申し訳ないけれど、
モロちゃんから手紙をもらっていた。
アトリエでの日々、作家たちのことを思って仕事している姿が伝わってくる。
夢でもアトリエと作家たちが出てくるって。
いつも、みんなとつながっていてくれてありがとう。
ケータイをなくしたそうで、もしアドレスがなかったら、
いつでもアトリエに直接連絡していいからね。
アトリエメールか、電話でも大丈夫です。

いつも、アトリエを応援してくれている、しとみ君からも手紙。
彼は今、福祉の勉強をしていて、大学にも編入。
学校の卒業研究でアトリエを取り上げたいと。
がんばってね。

そして、前にも一度、ご寄付をいただいているが、
ベリーダンスのスタジオが今年もアトリエを応援してくれます。
これは元学生チームで今はボランティアチームとして、
フェイスブックのページを担当してくれている赤嶺ちゃんが繋いでくれている。
前回もそうだったけど、彼女も踊ってくれます。
フェイスブックに情報がのると思うので見て下さい。

イサも大学で頑張っているようだ。
来年に向けて彼にも手伝ってもらうことがいっぱいある。

よし子はクリちゃんと連絡を取り合っている。
ふくちゃんも大きくなった。

ミヒロはどうしているかな。元気かな。

今は平日にあきこさんという心強い人がお手伝いに来てくれている。
熱心に見学しつつ、パソコン関係でも手伝ってくれる稲垣君。

こういうみんなの存在があって、今日もアトリエを動かすことが出来る。
みんなの想いを乗せて、進んでいこう。

みんないつもありがとう。
年末に向けて、頑張ろうね。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。