太陽はごちそう。
北陸のどんよりとした気候で生まれ育ったから、
本当にそう思う。冬場でもこうして日が照る時間があって幸せだ。
三重テラスでの展示に向けての作品選定がほぼ終わった。
限られた条件の中だけど楽しんで頂けるものとなるだろう。
額を良いので行ければ本当に良かったと思うが仕方ない。
その分、中身で勝負。
8点の作品はキャプションもいれず、無駄な説明を行わない。
純粋に絵の世界を感じて頂きたいと思う。
一点一点じっくり見て頂ければと。
ダウン症の人たちの豊かな文化に触れて頂きたい。
そして、展示の時期に書くことではないかも知れないが、
僕達は見せるために制作する訳ではない。
むしろ見せること、見られることから遠くにいるからこそ、
純度の高いすぐれた作品が生まれるのだ。
最近、いたずらに人に見せるために作品制作が行われている風潮がある。
様々な場所で本質に全く触れない、イベントや企画が行われている。
僕達は責任を持って意味ある活動、本質に触れる動きを続ける必要がある。
毎度言うことだが、10年後に何が残っているでしょうか?
一番大切なのは場であると、これは何度でも強調したい。
場での充実感の欠如を外での企画によって誤摩化してはいけない。
場に入って響き合うこと。そこで生きていること。
幸せを共有して行くこと。
それが僕達の仕事であると思う。
展覧会や他の企画は社会と繋ぐためであり、
充分に満たされた幸せをギフトすることだ。
それから知ってもらうこと、感じてもらうこと、
一緒に大切にして行きたい何かに気づいてもらうこと、
仲間の輪を広げて行くこと。平和を共有していくこと。
もう20年、場と言うものを通して、人の心を見て来た。
社会の中で、あるいは関係の中で人の心が傷つき、壊れて行く場面。
小さく萎縮してしまう場面。積み重なって身動きが取れなくなっている人。
人が生きるということは、本当に難しいことだ。
自由な囚われのない心を取り戻さなければ、真の平和などありえない。
人の心が自由に動いている本来の姿。
ダウン症の人達の作品はそれを示している。
今の世の中が最も必要としているものだ。
彼らを理想化している訳ではない。
彼らも僕らと同じく、様々な心の歪みを抱えてしまうし、
傷つき蓄積された影響によって身動きが取れなくなる場合もある。
だからこそ、本来の状態に近づいてもらう制作の時間を創っている。
彼らが本来の状態であれる時、そこで示される心の在り方こそが、
僕達も含めた全ての人間の根源にある姿なのだと言える。
多くの人がこの調和の輝きと出会うことを願うばかりだ。