2012年9月1日土曜日

現場がすべて

さてさて、先月はブログの更新が少なかったのでまた頑張ります。
この夏、色々すすめて来たことについては、またの機会にご報告します。

今日から教室が始まる。
夏の間は別の仕事をしていたが、
やっぱりスタッフにとって現場がメインの仕事だ。

ダウンズタウンについて何度か書いたし、よし子も書いているようだ。
そこで、今回は久しぶりに日々の制作の場、現場のことを書く。

現在、東京のアトリエはボランティアスタッフを募集しているが、
これは将来に向けて重要な意味を持っている。
すでに数名の方が手をあげてくれている。

勿論、アトリエ内での人材不足を解消したいという部分もあるのだが、
そんな事は小さなことにすぎない。
大切なのはこの場からたくさんの良い人間が育っていくことだ。

場の中で学ぶ、イベントや様々な作業を共にすることで学ぶ、
作家たちから、それからスタッフ同士で学び合う。
それには支え合う仲間たちが必要だ。
何度か書いて来たことだが、
今後は関わってくれる人達を増やしていくことが大切だと思っている。
その中に何人かは一生を通じて彼らと生きていこうと思う人が出てくるだろう。
でも、みんながそうでなくても良い。
様々な立場で、それぞれが自分なりの関わり方を見つけていければ良い。

なかでも「場」から学べることは本当に多い。
だからこの経験は多くの人にしてもらいたい。
これから、学校関連にも募集してみようと思っている。
研修制度みたいな形も出来るといい。
将来、人や人の心と関わる仕事を志す人は、
この場から学べることがたくさんあるとおもう。
それ以外の人にとっても生きていく上で、人間の元を創る経験になるだろう。

場に魅力があれば、想いを寄せる人が集まる。
想いを寄せる人が集まれば、可能性が広がる。

まず、良い場を創ること。
良い場、魅力のある場とは何だろうか。
多くの人達が、このアトリエの場に何かを感じて下さる。

場の魅力の80%までが、作家たちが本来的に持っている力による。
残りの20%はスタッフの能力にかかっていると言える。
ここまではっきり言ったことはないのだが、今後、伝えていくためにあえて書く。
この20%は本当に大きいと言うことは、責任として自覚しなければならない。

スタッフの仕事とは何か。
作家たち本来の性質を正確に見極め、それぞれが自分本来のリズムをつかめるように、
相手と呼吸を合わせ、その上で集まるみんなや場全体の雰囲気を創ること。
簡単なようで難しい。難しいようで簡単。

場に入る時の自分のコンディションで、周りの雰囲気はがらっと変わる。

良い状態をキープするというよりは、良い状態を創り続ける。
それが一番のキモと言える。

例えば、オリンピックもあったし、またしばらくスポーツを見たが、
スポーツ選手の場合であれば、一番良い時の成績で評価される。
調子が悪ければ、今はあんまり良くないですね、と、
あくまで良い時の基準で見られている。
だから、ある時、良い成績や記録を残せば良い。
つまり、調子が良いときと悪い時があっても良い。

でも、これが人のこころを相手にしている現場であれば、話は違ってくる。

僕達、現場のスタッフは良い時と悪い時があってはならない。
何故ならその一回がすべてだからだ。過去に良かった時期があっても、
そんなものは今の目の前にあるこころにはなんの効果もない。
絶えず、今の状況がすべてだ。

でも、ここが面白さだと言える。

僕自身はこんな状況に身をおくことが好きだ。
自分が鍛えられていくから。
もう10年ももっともとをたどれば、
20年近くもこんな時間を過ごして来たのだから。
そして、その中からたくさんのものを貰って来たのだから。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。