2012年2月27日月曜日

デザインプロジェクト

さあ、そろそろ晴れてくるといいんだけど。

前にもご紹介させていただきましたが、天然生活4月号に、
アトリエ・エレマン・プレザンの記事がのっています。
美理ちゃんの作品が綺麗と言う方が多いです。
案外、同じアトリエに通っていても、別のクラスの人の作品を見る機会がなかったり、
でこういう絵を描く人も居るのかと、保護者の方にも知っていただいています。
記事では「安澤美里」となっておりましたが、「安澤美理」です。
大変失礼いたしました。
それと、佐久間の紹介がアトリエ・エレマン・プレザン東京代表となっておりますが、
正確には佐藤よし子と共同代表、もしくは夫婦で運営しているということです。
すでに、公表されているものでは東京の代表は佐藤よし子となっておりますが、
この体制には全く変化はありません。(アトリエ全体の代表は佐藤肇、敬子)
今までどうり東京代表は佐藤よし子です。
現在は産休をいただいておりますが、仕事に戻って来たらまた楽しみです。
記事や外に出る時は発言した人が、どうしてもアトリエの看板になるので、
気を遣います。

最近の教室では、まいちゃんやあみちゃんの作品が素晴らしいです。
すでに成人した作家達の安定した作風とはまた違った魅力があります。
えいた君、ゆうこちゃん、えいこちゃん、てる君、
それにしんじ君、しゅうへい君、ゆうすけ君のように、
どんな時も自分の呼吸と間合いを持って、自分の文脈に持ち込める、
大人の作品はやっぱり見ていて凄いなあといつも思います。
でも、まだそこへ行く前の若い魅力というのもあって、
今のまいちゃんやあみちゃんにはフレッシュな作品が描けます。
今、目の前で、この瞬間に生まれて来る、新鮮さ、勢いがあります。
こころがダイナミックに動いて、作品に入って調和して行く。
こういう時期が本当に大事だなと思います。
ここで事物を読み取っていく感覚が養われてこそ、
後の安定した制作に入って行けるのだと思います。

これも度々、ご紹介していますが、
作品を使った様々な商品化に向けてのプロジェクトのお話をします。
まずは、フラボアさんとのコラボをお伝えしましたが、
これからその方面からも、このページにアクセスされる方もいらっしゃると
思うので、ちょっとプロジェクト全体の説明をしたい。

今週も新たなブランドの方と打ち合わせすることになっているが、
今回の企画の全体はオーガビッツというチームの方々と一緒におこなっている。
一番最初は溝口さんという素敵な方との出会いがあった。
溝口さんは志のある方で、小さな記事からアトリエの存在を知って、
作品や活動に強く共感して下さった。
綿を扱う豊島株式会社の中で、オーガビッツというプロジェクトが進められている。
オーガニックコットンを広く様々な人達に知ってもらって、
その価値を認めてもらうことで、環境保護に繋げていこうと。
ただ、環境を守ろうではなく、オーガニックコットンという実際の物、
肌に触れることも着ることも出来る物を通じて、
良いものを大切にするこころから、そのものが生まれる背景を守っていく。
良いものが売れていけば、良いものを作る環境や自然が守られる。
オーガニックコットンの魅力を様々な商品や、活動によって伝えているし、
その可能性をどこまでも探ろうとされている。
溝口さんからオーガビッツのお話をうかがって、
なぜ、溝口さんがアトリエに関心を寄せて、
応援して下さろうとしているのかが分かった。
アトリエ・エレマン・プレザンもダウン症の人たちのこころの世界というものを、
作品として、見たり感じたり出来るものを通して、
社会に紹介し、その魅力を知っていただいた人達で、
彼らの文化を守り、この世界に調和と平和を築いていきたいと考えて来た。

オーガビッツとアトリエ・エレマン・プレザンが提案して、
共感し商品化したいと思って下さった、企業とご一緒するという形で、
いくつかのブランドとのお話をすすめている。

そんな流れだ。
何度か書いてもいるが、
アトリエではダウンズタウンというプロジェクトを進めている。
ダウン症の人たちの調和的文化の発信場所を創って、
彼らが無理のない生き方が出来るのと同時に、
その彼らの作品や生き方から、一般の人たちが学んだり、
一緒になったり出来るものにしていきたいと。

このダウンズタウンの一環として、病院や図書館、企業等に、
作品を置いて、環境の中で平和な明るい彼らの世界と社会につながりを
創って来た。
ラッシュジャパンのチャリティー企画でも、ご寄付をいただくだけではなく、
パッケージのデザインにも参加させていただいた。
うおがし銘茶の「こんにち葉」のパッケージにも採用された。

こういった企画は現在のところ、経済的な収益にはほとんどつながってはいない。
でも、もっと大切なのは一つ一つの企画を通じて、彼らの可能性と、
彼らの文化が様々な人につながって来ているということだ。

今回のデザイン企画も、ご寄付にすると、そんなに大きなことにはならない。
正直に書くと、労力と人件費(僕達が動くのでいただく予定はないが)にすると、
採算が合うのかわからない。
当然、額の大小に関わらず、ご寄付は有難いし、ダウンズタウン実現のための、
外での活動費が毎年必要で、たくさんの方のご寄付があって成り立っている。
みんなのために有効に使えればと思う。

勿論、いつかは経済的な問題をクリアしたいと思うし、
ダウン症の人たち自身が正当に経済的に自立出来る仕組みと、
社会にしていきたい。
これにはまだまだ時間がかかるだろう。

今、するべきことは彼らの可能性と価値を広め、
理解し応援したいと思って下さる人を増やしていくことだ。
どんなきっかけでもいい。
洋服やグッズがキレイ、カワイイ。
作品でやさしくなれる。

少しづつでいいから、ダウン症の人たちの存在と作品の力に、
多くの人達が気づき、何だろうと思ってもらえれば。
ここに何か自分達が忘れかけているものがあるのかもしれないと、
感じていただければ。
今の世の中に必要なのはやさしさや、心の豊かさ、
共生、平和なのだとおもう。
そういった大切なものがここにある。

いつの間にか、社会の色んな場所に心地良い色彩感のある造形が浸透していく。
それを創り出している人達に思いを馳せる。
まずはそうなっていきたい。
商品を買った人も、調和のビジョンを共有できて、幸せになって、
一緒につくった企業もプラスになって、
描いている人にも幸福がくる。
そんな循環が出来たらいい。
関わった人、みんなが良かったと思えるものになったら。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。