2014年9月9日火曜日

スーパームーン

さっきまでずっと月を見ていた。

今日は本当に特別な日だ。

東京都美術館で公開制作を行った。
結果で言うなら生涯最高の場になったと思っている。

制作の場はいつでも奇跡のようだし、一生に何度しかないような体験を、
たくさんたくさん経験して行く。

それでも様々な面を総合的に見るなら、今日のが最高だ。

アトリエを離れて行っていることや、
一対一での場ということで本来とは違う部分が多いが、
エッセンスが凝縮されたとも言える。

ここへ至るまでさんざん自分にプレッシャーをかけて来た。
今回が集大成にならなければ、と思って来た。

それが出来てほっとしている。

てる君という作家と出会えたことに、
十数年も深く深く共有して来れたことに感謝している。

てる君の一番良い部分と佐久間の一番良い部分が出たのではないか。

制作の場において、スタッフにはゴールはないし、
常に満足してはいけない。
やり終えても達成感とは絶えず無縁だ。
でも、今回だけは特別に許される時だと感じている。

これがこそが目指して来た場所なのだから。

中身だけの話で言えば、行ける所までは行ったのだと思う。

特別な時間だったと言うことで言えば、
プロとして場に立って来て、これほど何もしなかったこともない。
今回は小手先のことは全て忘れた。

始めからてる君が答えてくれていたから。
何も付け足すものもひくものもなかった。
それ以上に何をするのも失礼なくらいの場面だった。

改めて思った。
佐久間の良さは技術にもセンスにもなくて、もっと根本のところにある。
作家が答えてくれる男だと言う部分だろう。

実際、今回の意味を僕よりてる君の方が理解してくれていた。
本当に有り難い限り。

プロとして立った以上、楽しいだけの場はあり得ない。
だから今回は初めて楽しんでいたのかも知れない。

プロであることもスタッフである事も捨てることが出来た場だったのだろう。

こんな時間を過ごせて幸せでした。
みんなにありがとう。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。