2014年9月8日月曜日

またぱらぱらと雨が降り出した。
秋の天気は安定しない。

静かだなあ、と思う。

作家の中では小さな子が1人2人は絶えずいて、
何年も付き合って行くのでいつの間にかみんな大きくなっている。
今は2人いる。

日曜日のクラスでその1人が座った瞬間に、
あれえ、大きくなってるぞ、と感じた。
背丈のことではなくて、何か反応が違う。
そのまま絵を描き始めたけれど、やっぱり作品も、描くプロセスも違う。
今日が境目だったか、と。
一夏の間に本当に成長した。

思えば僕の膝の上に座って描いていた人達が、
今では一人で堂々と描いている。
中にはもう僕を必要としない作家もいる。

当たり前のことだろうけれど、そうやって進んで行くということは凄いことだ。

最近、特に思うのだけど、瞬間が全てなのではないか。

美も本当は瞬間の中にしかないと思う。

人は何でも自分のものにしたいから、そして永遠にとっておきたいから、
残そう残そうとして逆に本当のものを壊してしまう。

何度か書いたが作品も出来上がった瞬間が一番美しい。
それはよく考えれば不思議なことだ。

ここで制作する作家達が出来上がった作品にあまり興味を示さないのは、
そのような態度は本質的なことなのではないか。

美だけではなく、人生のすべてが瞬間にこそあって、そこで輝く。

それが分かっていれば、もっともっと今を大切に出来るし、
人にやさしくなれると思う。

どんな時も疎かに出来ない。

消えるからこそ、今輝く。

以前、様々な仕事のメンバーで10名くらいいただろうか。
中華料理のお店で飲んでいた時、思わぬ出会いもあって、
意気投合したり、古くからの付き合いの方々と盛り上がっていると、
カメラマンの方が「こうしてるけど、みんな死んで行くんやろうなあ」とつぶやいた。
楽しそうで微笑みながらの発言なのでみんなも笑っていた。

その言葉を自覚した瞬間、その場がより輝いて見えた。

僕達の今は2度と戻っては来ない。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。