2014年9月14日日曜日

ちょっとづつでも

秋になって虫の声がとてもとても良く聴こえる。

今日は外の光も庭の緑もきれい。

しばらく外にいて、アトリエに帰って来ると充実感に浸る。
沢山の方とお会いしてお話しする日々が続いていた。
そんな中で制作の場に入ると本質的なものだけがあって、
やっぱりここが大切だと思う。
そしてこういう在り方を伝えて行かなければ、とも思う。

僕にとっては作家達が一番通じ合える存在だ。

こころは響き合うもの。
何らの感触も実在感もない人が多いが、
ここではみんなはっきりと手応えがある。

投げかけて来たものをしっかり受け止める。
投げ返す。またそれに返して来る。
その繰り返し。
言葉を使ったり使わなかったり、とにかく対話して行く。

人と人が共にいることは、こういうことなのに、
一歩外へ出るとなかなかそうはいかない。

簡単にいえば嘘だらけ、誤摩化しだらけだ。
ゆうすけ君の言葉で言えば「お化け」。

だから誰だか分からない人間がいる。
肩書きはあっても、人としての形が見えない。

生きていることは自分がプレイして行くこと、
目の前に現れて来るものをどう捉えて、答えて行くかで、
楽しさも豊かさも変わって来る。

アトリエでの制作の場とはこの単純な事実に真っすぐ向き合うことだ。
作家達もスタッフもずっとずっとそれを続けて来た。
そこに何かしらヒントを感じてくれる人達がいる。

僕達の方法はいつでも単純でシンプルなものだ。

これから社会との関わりの中でどうして行くべきか。
いつも最善を尽くしているけれど難しい。
みんなにとって良い形はどこにあるのか。
答えは一つだけだとは思わない。
その時、その場では必要な決断をして行かなければならないから、
これで行く、という方向を示して来た。
ただ、それはその時の最良の方向であって、唯一の答えなどではない。
次にはもっと理想に近づくかも知れない。

様々な見解がある。
時に議論することもあるし、批判することもある。
ただ、どんな考えであれ、本当の意味で否定したくはない。
全ては一理はある。
何故なら、そのように考える人、感じる人が一人でもいるのだから。
考えとしては意見としては認めるべきだと思う。

一番大切なことは、歩みを止めないことだ。
いつでも前に向かって行けば、少しでも改善され理想に近づく。

一人一人違うのだから、みんなにとって良いはない、という意見も聞く。
でも少なくともそこへ一歩でも近づくことなら出来る。
今より良くは出来る。出来ることは進めて行く。
力を合わせて。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。