2015年6月19日金曜日

今月も

一日雨。
土、日クラスの準備。気候の変化と共に微調整。
紙の質が明らかに落ちて来ているので、絵具等でのバランスも考えた。

スタッフの都合上、今月はこの土、日まで佐久間で行かせていただきます。
それと来月は1、2週が関川君ゆきこさんで、3、4週が佐久間となります。
普段と逆になりますが宜しくお願いします。

共働学舎のドキュメンタリー映画「アラヤシキの住人たち」を、
アトリエでもご紹介させて頂いていました。
ご覧下さった方々から多くの感想を頂きました。
ありがとうございます。
温かい場所で人の生きている素晴らしさを感じたとの言葉、
それに皆さんが佐久間の背景を感じたそうです。

共働学舎のこととなると他人事に思えず、ハラハラしていました。
まずはほっとしました。

何かが感じられる映像だったと思います。
そして、好評のため、まだ公開中だそうです。
引き続き、アトリエでも少しですがチケットを置きます。
ご興味のある方は制作終了時にお声をおかけ下さい。

とても良いと言って下さる方が多かったので、その次のことを言います。
あれは入り口に過ぎないと思っています。
少なくとも僕は。
入り口から入って、その奥に進んで行くと何があるのか。
僕自身は今のアトリエでそこを実践、証明して来たと実感しています。
今後も実践していこうと思います。

彼らの世界はもっともっと深いです。
その深く豊かなものを少しでも感じて頂ける場でありたいし、
そこから生まれた作品を通じて、彼らの凄さを知って頂きたいです。

最近、あからさまにエレマン・プレザンの真似をしている団体がいます。
人からも聞きます。
一言で言うなら上っ面です。果たして月日の経過に耐え得る活動なのか。
いづれにしても何かや誰かの仕事を引用する時は、
何処から借りて来たのか明らかにした上で敬意をはらうのが最低限のマナーだ。
そんなことすら出来ないのなら、その活動は根の無いものなので、
その内に消えて行くか、もしくは社会性の無いもので終わるだろう。
評価する人、受容する人の水準が低いので、
案外そういうものが残ってしまう場合もあるが。

これ以上は言わない。それで満足する人はそれで良いと思うから。
ただ作品が全てを語っている。
少なくとも、ダウン症の人達のセンスは、
僕達のアトリエで生まれているような質が基本であるはず。
はっきり言うなら、そのレベルのものが何処の団体を見ても出て来ていない。
何故なのか考えてみる必要がある。

作家に対しての尊敬心が感じられない、ということにつきる。

こんな世の中だから、今後こういった節操のない人が増えて行くのだろう。

制作の場で僕は答えたい。
これこそがこの人達の世界だということを。
そして、世の風潮に逆らってでも本当の仕事をしたいという真摯な方達に、
学べる場所を提供したいと思っている。
各現場で心ある人達は変わる準備が出来ている。
求めて来られる方達を見ていてそれを感じている。

諦めずに本当のものを見つけてもらいたい。

人が真に輝く瞬間がどれほど素晴らしいものなのか、経験してみて欲しい。

この瞬間に人と人が響き合って、奇跡のような何かが生まれる場面を見て欲しい。
より深く生きること、自分の全てを相手に差し出した時、
相手もまた同じように返して来る。
そこで繋がる関係こそが人の本来の在り方なのだと。

人のこころの奥にある創造性とは、調和へ向かうプロセスだ。
それは全ての人が持っているものだ。

僕達は制作の場で、次もその次も、命ある限り、証明し続けなければならない。
人はこんなにも優しくなれるし、こんなにも深く輝くことが出来るのだと。
みんなが居てくれることや、この瞬間があることが、
それだけで途轍もないことだということを。

明日も最高の時間が待っている。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。