ずいぶん寒くなってきた。
少し早めにエアコンをつけてアトリエをあたためている。
アトリエ・エレマン・プレザンの活動をフェイスブックでも、
発信していくことになりました。
こちらはダウンズタウンプロジェクトとしていますが、
展覧会やイベント等の情報ものせていくことになります。
ボランティアチームの赤嶺さん稲垣君が担当します。
2人のアトリエやダウン症の人達の良さを伝えていきたい、
という気持ちに期待しています。
新しいツールで、新しい視点でこれまでのアトリエや、
これからの情報を発信していってくれるそうです。
アトリエを応援して下さる皆さま、是非ご覧下さい。
日曜日のアトリエでは午前のクラスで、
なつみちゃんの表現がぐんと深くなってきた。
昨日、特におっと思ったのは、まあゆちゃん。
初めからいつもと集中の度合いが違っていたのだけど、
出来上がり間近で、作品に入り込み一体化していく。
色使いや、構成はこれまでいくつかのパターンがあるのだけど、
それが一つになっている。
こうして見ていると、やっぱりくりかえし重ねている行為が、
自己を深めていくということが分かる。
上手くいえないけど、染み込んでいくというか。
ダウン症の人達から、たくさんのことが見えてくるといつも言っているが、
その中でやさしさとか平和とか、
そういう要素は特に何度も触れてきた。
彼らのやさしさは物事に触れる時の手触りの繊細さにあらわれる。
ほとんど毎日、そんな場面を見ているが、
先日もてる君が「佐久間さーん。ドクブリが、ね。ドク、ブリですか」と
僕の後ろから話しかけてくる。
「ん。ドクブリ、あ、ゴキブリいた?」
「あっちに」
少し離れたところでよし子が笑っている。
よし子はずっと見ていたようで、話を聞くと、
てる君がずっと独り言を言っているので見てみると、
彼はずっと陰に隠れているゴキブリを覗いて話しかけていた、という。
「ドクブリなの。ドークーブリですか」と何度も何度も。
そんな訳でアトリエでは今年始めてのゴキブリを発見し、
僕がすぐに退治した訳だけど、
てる君のおおらかさにはみんな感動していた。
以前もアトリエが代々木にあった頃、
ベランダにゴミ袋を出していたらカラスがあさりに来た。
すぐに追い払おうと、立ち上がると、
窓ごしにてる君がカラスと話しだした。
僕達はしばらく見守っていたけど、10分くらいずっと話していた。
にっこり笑いながら「なーに、もってくの、泥棒カラス」。
昨日のクラスでも、描き終わった後で一生懸命、
何度も何度も絵の題名をくりかかえしつぶやいている。
自分で考えたタイトルだけど、忘れてしまうので、
何回も確認している。
「海、山!階段、サッカー!NHK!お家で見たところのNHK!」、と。
「お母さん、今日はこむかえ(おむかえ)こられないから、教えてあげないと」
といって僕の顔をみる。
とてもとてもやさしい目をして考えている。
みんなが帰った後で最後はすぐる君と2人になったのでお話していると、
いつもより考えながら話しているので、何か聞きたいことがあるのかな、
と思っていると、しばらく話してから、
「佐久間君は何か食べるものは、なにが好きですか」と
ゆっくり聞いて来た。
「うーん。何でも好きだよ。」
「じゃあしいたけは好きですか」
「しいたけ、すきだよ」
「今度、学園祭に行くから、佐久間君にしいたけ買ってこようと思って」
そんなすぐる君は昨日、凄いテーマの作品を描いた。
タイトルは「離れた空」。
地球を上から見ていて、横にも前にもいくつかの惑星がある。
ただ単に上というよりは、複雑な角度で描かれていて、
いったいこれを見ている人はどこから、見ているのだろう。
しかも、地球や他の惑星の上に(これも上と言えるか分からないが)青い空がある。
色んな角度から同時に見ているような感じでもあるが、
角度とか、そういう次元を超えてしまっている。
これがシリアスに描かれていたら、また印象が違ってしまうが、
すぐる君お馴染みの可愛くて、ちょっととぼけた、
そして、少し奇妙な感じの作品として描かれている。
これを見ている時、描いている時、いったい彼はどこにいるのだろう。
どこから見ているのだろう。
人に何かをしてあげたいとか、喜ばせたいという気持ちはみんな共通している。
でも、言葉ではなく、行為ですらもなく、
彼らのやさしい気持ちは気配のような感じで、透明感があって、
それに触れた時は切ないような感動がある。
おっと、今日のテーマは自由についてだった。
長くなってしまうので本題は次回にします。