2012年3月5日月曜日

僕にとっての制作空間

まだまだ、寒さが戻りますね。今日は一日雨の予報。

また個人的なことで申し訳ありませんが、いよいよ悠太と再会だ。
火曜日に帰って来ます。
一ヶ月でどんなに変わったか楽しみ。
やっぱり成長の過程は全部見ておきたいし、
出来るだけ一緒に過ごして、父親としての役割もはたしたい。
よし子が三重から送ってくれた写メールを整理した。
メールの写真も保存出来るってことと、
やり方をこの前、ゆりあに教えてもらったので、
昨日2時間も写真に見入ってしまった。
親ばかになるなんて、すぐだなと感じて、そこまでにした。

クリちゃんの子供、福太君も1才になりましたよー。
早いなあ。クリちゃんの送ってくれた写真を見ると、
フクちゃんもう大人のしっかりした顔になってる。
来週、みんなに会いにきてくれる予定です。
タイミングが合えば、福太、悠太の初競演もしたい。

日曜日、午後クラスはゆりあがどうしてもの用事で抜けたので、
久しぶりに1人で見る。
本当に良い時間だった。
良い時のアトリエは「ああ、流れてるなあ」と感じる。
良い流れは、途切れない。
すぐる君がお休みだったけど、他の4人とも作品も素晴らしいし、
笑顔も、関係も素敵で自然な流れにいた。

みんなと一緒に創って来た、この制作空間が僕にとってもいかに大切か、
思い知らされた一日だった。
最近は外での仕事が増えているけど、
やっぱり自分の一番相応しい場は、彼らと居るところだと思う。
僕は彼らにリラックスして良い気持ちの中で、
自然な流れに入れるようにすることが出来るし、
そうすると彼らは本当に多くのことを教えてくれる。
彼らがあたえてくれるものの大きさにはいつも驚く。
様々な人達や、アトリエを手伝ってくれる人やスタッフに、
この場の仕事を伝えるのにはいつも難しさを感じるが、
僕自身は制作の場において困難を感じたことはない。
すべては自然だ。
勿論、一日一日の教室はもっと深くいけるはずだと、
一回も自分に満足したことはない。
でも、制作の場に入ると楽しさしか感じない。

彼らに出会って一緒に生きられることも、
制作に関わることができていることも、本当に幸せだと思う。

いつかは制作現場で彼らと過ごすことを専門にしたい。

でも、こういった場や彼らの価値を伝えるには、
外に出て行くことも大切だ。
自分のしたいことと責任は別。

人には役割があり、責任があると思う。

少しづつ、変わり始めていることは実感する。
最近、外で人と会ってお話ししても反応は違ってきた。
ダウン症の人たち専門のアトリエですと言うと、
以前はなぜダウン症?というところから始まったが、
この頃は結構な割合で「ああ、絵がいいらしいですね」という言葉がかえってくる。
このことはアトリエ・エレマン・プレザンだけの功績ではないだろうが、
アトリエの活動がジワジワと認識を変えてきている部分はあると思う。
地道にでも伝えて行くことは大切な事だ。
いつか「素敵な感性を持つ人達」としてダウン症の人たちが認識され、
それが一般常識になってほしい。

そんなことを考えながら、外へ出掛けて行く。
彼らは言わなくても、何か察知するらしく、
僕が仕事を終えると「お帰りー」「お疲れさま」「ありがとう」と、
本当にそんな言葉をかけてくれる。

日曜日のアトリエでも、
えいこちゃんが心配そうに、
「今日、サクマさん1人ってことは私達帰ったらさみしいんじゃないの」と呟き、
てる君が僕の方を見てニッコリ笑う。
彼らのやさしさは普通のやさしさより一段深い。
自分で言うのも何だけど、彼らと僕の共有しているものは、
本当に深く大きいと思う。
彼らにも感謝しているし、
佐久間にこれをさせておこうと思って下さる方々、
アトリエのスタッフの仲間達や支援して下さる方、
私達を信頼して任せて下さる保護者の方々、
そういった方々に、いつも「ありがとうございます」という思いだ。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。