2011年10月26日水曜日

あかちゃん

昨日は久しぶりに、クリちゃんと子供のフクちゃんがアトリエに来てくれた。
みんなが、あかちゃんと触れ合っているのが面白かった。
お互いにとって、いい環境だと思う。

もうすぐ、家にも子供が産まれる。
よしこのお腹も下がって来て、あかちゃんが下りて来ているのが分かる。
多分、もう少しだろう。
毎日のお灸の数も増えて、身体をやわらかくする準備をしている。

やっぱりアトリエにあかちゃんのいる光景はいい。
みんなも楽しくなるし、愛に包まれる。
空気もやわらかくなる。本当に不思議だ。

土、日曜日の絵のクラスは制作に向き合う大人の空間。
だから、場も真剣な雰囲気になっているし、
そこであかちゃんが入るのは難しい。
だから、プレのように少し日常に近い形で、触れ合える時間も大切だ。

あかちゃんをかわいいと感じるのも人間の本能だし、
大人にかわいいと感じさせるのも、あかちゃんの本能だ。

あかちゃんと一緒にいると、人は人間としての最初の記憶を取り戻す。
そんな時間をみんなで大切にしたい。

フクちゃんと少し遊んで、色んなことを思い出したし、
色んな事を感じた。
制作の現場においてもそうだけど、
改めて感覚を全開にして生きていきたいと思う。

僕が10代の頃は本当に良い環境にいたのだと思う。
たくさんの大人と子供、年を取った人、あかちゃんが一緒にいたし、
自然もいっぱいあって、動物もいた。牛、山羊、鶏。
僕は山に物資を運ぶのに、ロバを買いたいと思っていた。(実現はしなかった)
そんな環境でたくさんの子供とあかちゃんと、遊んできた。
友達のあかちゃんも、僕の膝の上に居る時間が長かったし、
ハイハイしながら一緒に戯れていると、すぐに半日が過ぎてしまった。
僕はあかちゃんと相性がいい。
4、5才を過ぎた子供達ともよく遊んだ。
彼らと付き合うときはあかちゃんと遊ぶときとは違う。
あかちゃんとは、本当に一体になる。何も考えない。感覚だけで戯れる。
子供達も僕と遊ぶのを楽しみにしてくれたが、
子供達と接するときは、逆で子供を子供扱いしない。
そうしていると、彼らは信頼してくれて、色んな事を教えてくれる。
アトリエでの制作の場では、この2つの要素を同時におこなう。

こどものこころが育つ環境、
大人のこころが育つ環境が必要だ。
なによりも、深く触れ合える場が重要だと思う。

大人になると色んな事が難しくなってくる。
僕達は本当に無駄なものをたくさん持ってしまった。
持つのはまだいいが手放せなくなると危険だ。

時には、何も持たなかった時代を思い出したい。
人生のある時期にもう一度、そこへ立ち返ることが出来る。
それが、あかちゃんと接している時かも知れない。
親だけでなく、周りに居る人達がみんなでそんな時間を大切に出来たらいい。

一番いいのは、大人の意識を持ちながら、
あかちゃんの様な自由で縛られない、やわらかい世界を生きること。
ダウン症の人たちは、ある意味でそんな理想に近いかも知れない。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。