2013年5月14日火曜日

戦わない知恵

日中は暑いくらいの日が続く。
そのうち、冬と夏しかなくなるんじゃないかと思ってしまう。
土、日曜日はやっぱりとても良い雰囲気になった。
勿論、作品も良い。
土曜日は雨でしっとり。日曜日は暑くなったけど、日差しはやわらかく繊細だった。
優しい日差しを受けて穏やかな時間が流れていた。

時々、本当に時間が止まる。
それくらい質の高い、密度の濃い時間になっているのだろう。
僕にとっていつまでたっても制作の場や人のこころは神秘であり続ける。

本当のことだけ言って行きたいので、最近はブログの更新も遅れて来る。

さとちゃんがアトリエに入るなり言った言葉。
「暑いからコックリさんでもしませんか?」
凄いセンスだなあ。

しかも作品はかなり良かった。
幻の世界を描いてると語りながら色が重ねられて行く。

そういえば、あみちゃんが「まぼろしいなあ」と言ったことが何度かあった。

幻みたいが、まぼろしいって、なかなかのセンスだと思う。

日曜日は朝、犬の散歩で歩いている時に、
今日のアトリエは絶対いいなあと思った。

近所にお花屋さんがあって、そこのあんちゃん風の男性は面白い。
サーフィンとか自転車とかスケートボートとか、
多分、スキーとかもなんだろうけれど、とにかく遊ぶ。
店では音楽をいっぱいかけたり、お香を焚いたり。
そして、植物が外にまで出ていて、それを嫌っている人もいる。
夜は道で友達を囲んで立ったり座ったりしてずっと話している。
ヒッピー風で適当な感じもある。
ところが、この人、実はかなり繊細で、花や植物に関しては結構深い。
良い仕事をする人だ。
僕は人に花を贈る時はだいたいは彼にお願いする。
繊細でセンスが良いからだ。
こんな感じの人に、こんな時に、と言うと、
「じゃあ、こうこうこういうかんじかな」と、すぐにイメージを作ることが出来る。

イメージが明確であること、プロとして状況に応じて動けること、
これが大切だ。

そうそう、その花屋の彼が朝、
立ち話で「今日、いいっすね」とお客さんに言っていた。
それが日曜日。
いいっすねには勿論、天気が大きいのだけどそれだけじゃなくて、
その日にその時間にあった雰囲気、すべての清いもののこと。

僕もその日、今日いいなあと思っていたから、その風景がすんなり入ってきた。

昨日は打ち合わせで、これからの私達に必要なのは、
ダウン症の人たちのような調和する感覚、争わない知恵、
戦わない豊かさでありセンスだという話をした。
それでも、僕自身は相変わらず戦っている。
この矛盾。

みんなにやさしくありたいと思う。
ただそれだけのことが、結構難しかったりする。

人が集まって、簡単ではないけれど、時には上手く行かないこともあるけれど、
その中で気持ちが通い合い、響き合う場を創る。
その場が最大の作品といえる。
良い絵を描くように、良い社会を創って行く。
良いと思った人達が共鳴しあって、環境が創られて行く。
これからの3年くらいのところが本当に大事だと思う。
今年の合宿とそこから先に期待していただきたい。
良い流れを生んで行きたい。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。