2013年2月25日月曜日

最近のこと

相変わらず寒い日が続いているが、春の気配もしてきた。

さて、しばらくブログが書けなかったが、
先週は見学や会いにきてくれる人が沢山いた。

いろいろお話ししていて、思うところがいっぱいあったが、ここでは書かない。
誰かの迷惑になってはならないので。

一つだけ、これももう何度も書いているが、
ダウン症の人たちに関わる人達に言いたい。
彼らに関わることを仕事としている人も、関係者もご家族もそうだが、
権利を訴える前に、自分達の理解のレベルを上げるべきだ。
よかれと思って行われている活動も、本当に彼らにとって良いのか、
深く考えてみるべきだ。
彼らのためと思っていることが、マイナスの効果をはたしていることも多い。
はっきり言ってしまえば、そういうものがほとんどだ。
いったい何の為に何がしたいのか、彼らのために何の役に立つのか、
本当に考えてみて欲しい。

おごってはならない。
知っていると思い込むべきではない。
謙虚にいつでも学ぶ姿勢が必要だ。

いくら身近に過ごしているからと言って、
彼らのすべてを分かっていると思わないことだ。

何かをしてあげたい、とか助けてあげたいという思いは、
確かにちゃっと上から見ていることではあるけれど、
それ自体は否定したくはない。
ただ、本当に助けになりたいのなら、自分が良く知ることが必要だ。
まず、何が必要なのか、感じなければならない。

僕自身はこうして彼らの作品制作の場に関わっているが、
月に100枚を超える絵が生まれる中で、
どの瞬間も新しい何かが見えてくる。
彼らの奥深さは、これくらいでは見えないな、と感じる。
まだ、先があるからいつでも続けていく。

ダウン症の人達のことを分かって下さい、というメッセージをよく見るけど、
あなた達は分かっているのですか、と問い直したい。
みんなで一緒にもっと分かろうよ、というのが正しいし、
みんなで彼らの声にもっと耳を澄ませてみようよ、ということなのではないか。
まずは、僕達、私達が、日々変わっていくこと。
率先して彼らの世界に入っていって、そこに何があるのか、
見極める努力を怠らないことではないか。

そんなことを感じている。

僕自身はいつでもシンプルな考えしかない。
ダウン症の人たちと関わっていくこと、一緒に生きていくことは、
楽しいし幸せなことだ。
僕は彼らが本来の力を発揮出来る場面を創ることが出来るし、
そうすると彼らは僕にたくさんのことを教えてくれる。
これが理想の関係だと思う。お互い与え合っているわけだ。
いつもこんなに与えてくれるし、教えてくれる存在が、
他の人達にとっても有用でないはずがない。
だから、他の人達との出会いの場所を創ったり、
彼らの世界観を伝えたりする。
そうすると、出会った人はみんな何かを感じてくれる。

こういうことが社会全体に広がっていけば良い。
ダウン症の人たちと社会との関係が出来ていく。
一緒にいると幸せと思う人が増えていって、
みんなでこんな風に生きようよ、という理想を示せばいい。
きっとそうだねと思う人が広がっていくはずだ。

僕のところには全く新しい意識を持った人達がやってくる。
みんな現状の福祉のあり方や、彼らとの関わりに疑問を持っている。
もっと彼らと一緒になりたいと思っている。
時代は変わっている。
古い発想は捨てるべきだ。
特に何かを教えたり訓練させていきさえすれば良いと考える人達。
ご自分が勉強して訓練しなさいと言いたい。
うーん。
最近はとくにあんまり批判は書かないようにしてきたけど、
やっぱり最後の一言が出てしまう。
いったい何様のつもりなんだ、とやっぱり書いてしまいました。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。