2015年3月17日火曜日

おだやかな朝

今日は暖かくなった。
日差しも奇麗。

しばらく前に久しぶりに稲垣君が見学に来た。
こうして途切れずに仲間達と繋がっていることが嬉しい。

土、日曜日の制作では、この心身ともに苦しい状況の人が多い中、
かなり良い場になったと思う。
この時期の現場は本当に狙う的はギリギリのところだ。
でも、これが上手く行った時は逆にいつも以上に素晴らしい何かがある。

何人かの作家からは電話もあった。
つらいなあ、と一緒に変化を待って来た。
もう少しすればみんなちょっとは楽になるだろう。

北陸新幹線が始まった。
金沢まで2時間30分。信じられない。
善くも悪くも色々考えさせられて来た。
ここ数年の金沢の在り方はちょっと、という部分も多かった。
大切な木々が切り倒されて駐車場になった。(これは観光とは関係のない場所で)

それでも10年以上前から話題になっていた新幹線がやっと実現して、
多くの人が金沢を視野に入れてくれることはやっぱり嬉しい。

ただ、あの街は魅力が分かりづらくもある。
豊かな自然がある訳ではないし、東京、大阪、福岡のような都会でもない。
文化で勝負なのだけど、その文化は結構ゆっくりしていて、
善くも悪くも強いインパクトを与えるものではない。
知って経験して行くと本当に奥深いものがあるのだが。

日本海の魚のレベルの高さは関東に居ては絶対に分からない。
和菓子も素晴らしい。
東京で知られているのは森八の長正殿くらいだけど、
生菓子で凄いところはいっぱいある。
特に職人技を感じるのは「吉はし」。ここは注文販売のみだが。

まずは東茶屋街に行けば、雰囲気が分かってもらえると思う。
僕の実家は反対の西茶屋街の近くで、こちらは殆ど観光客の姿を見ない。
来ても何も無いからしょうがないが。
でも、西茶屋には「かわむら」という甘納豆のお店があって、
このお店は素晴らしいです。味もセンスも全体の雰囲気も。
観光する場合、中途半端な場所にあるけど「ローレンス」という喫茶店。
最近は空いている時間がルーズになっているけど、
独自の雰囲気は他に無いものだと思う。
ここには先代のマスターの時代に通っていた。
当時は暖炉でレコードを使っていた。

僕は年に一回帰ると珈琲を飲みに行く店があるけど、
万人向けではないし、かなり覚悟がいる店なのでここでは紹介しない。

金沢はあの幻想的な時間の流れ方が特色で、
そこに気がつくには本当はのんびり行った方が良いので、
この新幹線というのが観光向けなのか実は分からない。
せめて新幹線で吉田健一の金沢に関するエッセイか、
金沢というタイトルの小説を読みながら、向かうとちょっと雰囲気が出るかな。

金沢のことをちょっと書いてしまったけど、
僕自身はあんまり帰ることもありません。

さて、ちょっと予定がのびて木曜日まで東京です。
4月は特別なことがなければ東京にいる予定です。
ご見学を本当に長い間御持ち頂いている方々は4月にようやくお会い出来そうです。

今年も桜が楽しみです。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。