2015年1月15日木曜日

素の美しさ

今日は昼間から真っ暗で不思議な一日だった。

雨がいっぱい降った。

皆さんにはすでにお知らせしておりますが、
日赤の「新宿東口駅前献血ルーム」に、
アトリエ・エレマン・プレザンの作家達の作品がデザインに活かされています。
トリミング、加工されていますが、作品の世界観は鮮やかに出ています。

自然さ、明るさ、やわらかさ、調和といった彼らの世界が広がっていて、
本当に素敵な場所になっています。

献血する場所なので見学は出来ませんが、
もし献血されるお気持ちおありであれば、是非見て下さい。

僕もようやく見に行くことが出来ました。
本来なら献血すべきなのですが、本当に情けない話で血がダメなのです。
人のを見るのもダメでクラクラしてしまいます。
そんな訳で献血出来ずに申し訳ない気持ちでした。

今回のお話はユナイテットデザインの杉山さんからいただきました。
デザインも杉山さんです。

杉山さんとも長い付き合いです。
こうして形になってまた繋がりが深くなって嬉しいです。

仕事になる以前のお付き合いこそが大切だと思っています。
その間にお互いの理解も深まり、気持ちが通い合うからです。
中には直接お仕事と繋がらない方もいます。
でも、それでいいと思っています。
機が熟すということが大事で、決して急いではならないと思います。
大切なものは焦って扱わないものです。

お互いの気持ちが大切です。

人の名前や立場を利用する人が多いです。
自分にとって利益になる人達ばかりと付き合う人もいます。

本当の付き合いをしていきたいです。

先日、久しぶりに目白の古道具坂田へ伺いました。
坂田和實さんの姿勢からはいつも学ばせてもらっています。
このブログにも何度か書いていますが名前は伏せていました。
他にも数人、名前を書かない方がいますが僕なりの配慮です。

坂田さんはその世界では有名な方なので、
ここで僕なんかがお仕事を解説しない方が良いと思います。

ただ、一言で言うなら美しいとはどういうことなのか、
最も根源的に追求していらっしゃる方だと思う。
こういう言葉は使いたくないが、真の目利きと言える方。
世の中で言うところの目利きはせいぜい、
鑑定士のようなことだけど、そういう意味ではなくて、
美を見つけ、美を生きることが出来る方だ。

目上の方でまして尊敬する方を前にした時、
僕はあんまりしゃべらないのが常だが、
坂田さんといるとついリラックスしてしまう。
あとでしまった、調子に乗り過ぎたと反省してばかり。
それくらい懐が深い、偉ぶらない方だ。
こちらが調子に乗って話していても、にこやかに聞いて下さる。
坂田さんは全て承知の上なのに、そうと思えばこそこちらも安心してしまうのかも。

それにしても、たった一人で権威にも伝統にも頼らず、
真っすぐに戦い続ける姿には勇気をもらいっぱなしだ。

僕も近くに尊敬出来る人がいて、
憧れながら生きることが出来ていた時代があった。

今では孤独を感じる場面が多い。
そんな中でジャンルは違えど前を歩いておられる坂田さんの存在は大きい。

僕らの現場でもそうだけど虚勢を張っている人ほど弱いものはない。
ただいつでも根源に立ち返って裸でいるのはかなりの覚悟が必要だ。
殆どの人はそれが出来ない。

坂田さんが美しいと言って選ぶものは、
何ものにも依存しない裸の物で、素朴そのもの。
何も付け加えられることなくただそこに在る美しさ。
その姿は坂田さんの生き方そのものだ。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。