2014年11月3日月曜日

一期一会

寒くなりましたね。

制作の時間は本当に充実。

仕上がった作品にはまだそんなに変化は出ないけど、
制作のプロセスはかなり変わって来た。
季節の変化はとても重要だ。
変わり目は特にエネルギーと注意力が必要。
気が抜けない。

イサにもここの場面をしっかり覚えてもらおうと思っている。

かれも以前と比べ仕事をしっかりおぼえて来たが、
更に筋金入りにならなければならない。

その時、その場が上手く行く場はクリアしたとしましょう。
次の段階はずっと先までもつ現場を。
一つ一つを怠りなく積み重ねていなければ、月日に耐える場にはならない。

勘やセンスだけの場は時間とともに失われて行く。
(勿論、勘やセンスはかなり大切なものなのだけど)

後でしまったと思わないために、
気がついた時には何故か枯れていたなんてことにならないために、
しっかりと基礎を固めて、日々の努力を積み重ねる。

僕自身も場に立ち続ける意味を噛み締めている。
場に立てるということが本当に有り難い。

思えば場が大切なことをみんな教えてくれたのだし、
場なくしては何も無かったとさえ思う。

世界は一つではないこと。別の知覚を得ることは可能だということ。
身体や心を変えることの可能性。
認識を分けて使うこと。
身体や心をバラバラにしたり分散させたりして、
さらにそれらを同時に動かすやり方。
たくさんの見方や感じ方。
教えられたことは本当に多い。

場に入らなければ分からないこと、見えないことが沢山あった。

場が無ければ、今の理解も経験も無かっただろう。

場の中で感じていることは無限なので、言葉で説明することは出来ない。

ただただ、濃い時間が流れて、いくつもの人生を生きているような感覚だ。

そこで流れた時間や行った場所や、それぞれの心と人生が、
もう一人の自分、というよりは無数の自分のようになっている。

僕達は無限の中にいるのだと実感する。

もう11月。
今年も残りわずかだ。
毎度言うことだけど、良い場にしたい。
たくさんの笑顔と美しい作品が生まれる場を。
場の中でまた作家達と生きたい。
一期一会ということを強く実感する。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。