2014年2月25日火曜日

たくさんの声を出すカレー

ようやく、ようやく暖かくなったような感じですね。

アトリエへ通う作家たちはますます素晴らしい時間を作っています。
いい時期だなあ、と感じながら4月まで一ヶ月となってしまいました。
次の体制に繋いで行かなければなりません。

本当に不思議な位、日に日に良い場になって行く。
作家たちの見せる素敵な世界。
終わりはない。

東京アトリエは僕が月の後半を空けることになっても、
今より良くなるところまで行くと考えています。
その為の準備もしっかりとしてきました。

火曜日にクリちゃんがみんなに会いに来てくれました。
一緒にやって来た大切な大切な仲間です。
クリちゃんは島根県へ移住することが決まって、
最後にみんなに会いたいと来てくれました。
今後も何らかの形で繋がって行きたいと考えてくれています。
みんなのこと、アトリエのことを深く思ってくれていて本当に嬉しいです。
物理的には離れてしまいますがこれで終わりではありません。

繋がってくれている人達、思いを共にしてくれている人達が沢山居ます。
それも本当に強い強い絆で。
だから前へ進むのみです。

別れは確かにさみしいですが。

友の死からまだしばらく経ったばかりですが、
かつての仲間達からメールや電話で連絡をもらっています。
ごめん、と思いながら返事を返せていません。
逃げているのかもしれない。
返事をするくらいなら今すぐ会いに行くべきなのに、その時間がとれない。

食生活が偏りがちだったので外食を避けるようにしていた。
久しぶりに今日は外で食べようと思って好きなカレー屋さんへ。
家で絶対作れないものを食べようと思って店員さんに聞くと、
裏メニューみたいなのを教えてくれた。

そのカレーを一口食べた瞬間の衝撃は忘れられない。
一言で言えない本当に複雑な味。
強烈なスパイスの絡み合い。
普通はカレーには使わない多くの食材が入っていて本当に独創的。
甘み酸味、辛さ、それぞれが強烈に主張し合って行き来する。
猛烈なスピードで駆け回るように。
その味を噛み締めている時、自分の中で押さえていた感情がこみあげてきた。
何故だろう。
この複雑で強烈な味の混ざり合いに、僕はかつての日々や、
今は居なくなった仲間達の声や姿を見た。
生きることに精一杯で、必死になって走り回っていた人達。
そこには彼らと同じ位に必死だった僕自身も居る。
楽しいねえ、面白いね、痛いね、悲しい、苦しい、さみしい、
みんなが大きな声で笑ったり泣いたりしている。
誰も無傷ではいられなかったし、僕達は傍観者になるために生まれて来た訳じゃない。
見て見て、ほらここ、一緒に行こう、
これ凄いでしょ、面白いもの見つけたよ、あれ見た、あれ聞いた、
みんなが目を輝かせている。
その時その時が真剣で必死だった。
○○君××ちゃん△△さん、みんな居たね。一緒にいたね。
みんなみんなありがとね。

消えて行ったすべてのもの、人も時間も。
すべてが輝かしく美しいと感じる。
いや、なにも消えては居ないし、変わってもいない。
すべては今こうやってここにあるのだから。

転げ回ることをやめようとは思わない。
賢くなんてなる必要が無い。
いつだって全力で生きて行きたい。

制作の場は人生の縮図でもある。
みんなと力を合わせて今以上の高みを目指したい。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。