2012年8月15日水曜日

何のためにここにいるのか

お盆ですがいかがお過ごしでしょうか。
今日はというか、今日も書くことが決まっていないけど、書き出してみました。

うっかりしていました。
先日、ご案内した佐久間の講演ですが来年のお話でした。
本当に失礼いたしました。
来年なので、今度はしっかりお伝え出来ると思います。

たまに雨が降ったり、強い風が吹いたり、ちょっとしっとりした感じで、
静かでお盆だなあという感じ。
人がいないからなのか、静かだからなのか、
それとも自分が珍しくおとなしくしているからなのか、
とにかく、お盆の時期は誰が決めたのか知らないが、上手く出来てるなあと思う。
いない人を思うと、本当に今帰って来ているんじゃないかと感じる。

不思議に自分の家族や祖先のことは考えないのに、
人生の途中で出会って今はもういなくなってしまった人達のことを思う。
ありがとう、という気持ちだけでは足りない。

今、私達が直面している問題は本当に大きなものだ。
これからの時代、本気で生きていく大人がもっともっと増えていかなければならない。
もう一度だけ放射能のことを書く。
忘れてはならない。
海のものに影響が出て来ているようだ。
どんな人も出来れば原発からの安全な距離をとることがベストだ。
その上で、海への影響、食品やその他のものへの影響も考えて行こう。
避けられない状況は確実に近付いている。
避難するだけでは避けられなくなって来るだろう。
その時、私達はどんな生き方が選択出来るだろうか。

僕にとって、この世からいなくなった人達を思うことは、
今いる人達、これから生まれて来る人達を思うことと通じる。
一人一人が全体に責任がある。

自分を見つめなおそう。
なぜ、今、ここでこうしているのか。
何のために、生きているのか。
少しでも良くしていくために、生きなければならない。

東京のアトリエのこともそうだ。
なぜ、ここで集まって絵を描くのか。
この場がみんなのために、ここにいない人も含むすべての人のために、
何かを生み出すものでなければならない。

5人でも、6人でもいい。100人でも1000人でもいい。
その場がよく出来れば、世界は良くなる。

作品の中にだけ調和がある訳ではない。
創る人、関わる人、支える人、見る人、集まる人みんなが、
この場において調和する。
そういう状況をみんなで創れるかどうかだ。
もし、しばらくの時間でも良い場を経験すれば、
その人はそれを忘れないだろう。
そういう人がたくさん増えていけば良い。
良い場を経験した事があれば、他の場所でも良くして行くことが出来る。
そういう環境を広げていくことが出来る。

ダウンズタウンを創ってみる。
初めはどんなに小さくてもいい。
一つ創って、それが良かったら、次を創っていく。
創ることで関わる人間も学んでいく。
そのくり返し。
三重のアトリエを知っている人、東京のアトリエを知っている人、
合宿を経験している人。
そういう人達は分かるだろう。
次にどうして行けば、どうなるのか。

そして、どんな場所にいても、その場で自分に何が出来るのか、
考えて行く。
今いるここからすべてが始まる。
今いる場所を良くする力を養うことが大切だ。
僕らは学ぶためにここにいる。
学ぶために場に入る。学ぶために心と向き合う。

何度か書いたが、今、協力してくれる仲間を募集している。
人が集まり、良くしていく経験を積んで、次の環境を共に創りたいと考える人は、
是非、仲間に加わってもらいたい。

2012年8月13日月曜日

感覚を信じる

東京のお盆は本当に静かだ。

倉庫に作品を取りに行って、いくつか準備する仕事がある。

悠太はハイハイから、掴まり立ち、最近はつたい歩きが出来そう。
それから、ちょっと言葉が出そうな感じにもなってきた。
まだ時間はかかるのだろうけど。

いつも、一番大切な事を書いているつもりだ。
ダウン症の人たちを通じて書いて来たけど、別に彼らを特別視している訳ではない。
ただ、彼らを通して人間の普遍的な何かが見えるはずだと感じて来た。
ここで、ずっと感じてきたことは本当に大切な事だと思うし、
増々、現代の課題となってきている。

今こそ、これまで取り上げて来たようなテーマが重要になってくる。

これから先、私達は本当に危機感を持って生きていかなければならない。
何がおきてもおかしくない、そんな時代だ。
価値観も変わっていくだろう。
信じられるものは少なくなっていく。
これまでの、家も仕事も生活も、いつまでこのままでいられるのか分からない。
何もあてに出来ない。

私達はもう一度、裸になって何もないところから始めるしかない。

ダウン症の人たちや、このアトリエの場や作品の力が、
本当の意味で役立つ時が来たのだと思う。

すべてを前向きに捉えてみよう。
感覚や感性の力を取り戻すチャンスとして。
人間にとっての本質的な生き方に立ち返る機会として。

信じられるもの、信頼出来るものが一つだけある。
それこそが感覚の力だ。
これまでは感覚の力を妄信するなということを、言い添えて来た。
何故なら自分の感覚というものは、狂いやすくもあるからだ。
でも、そんなことを言っている場合ではない。

少なくとも、我々が大事にしすぎている頭よりははるかに正確なのが感覚だ。

考えて上手くいくことなんかほとんどない。
その証拠が今の文明だといえる。
考えによって、頭で作られているのが今の文明だ。

考えることやめること、頭を使わないこと、
全身の感覚だけになること、このことほど重要なことはない。
それを忘れてはならない。
頭と計算という保健をかけていては、感覚の力は機能しない。
感覚だけになってしまえば、必ず本能が強く働く。

感覚を信じて、信頼することだ。
制作中の彼らのように。

頭を使いすぎるから、感覚が死ぬ。
持ちすぎているから、武装しているから、守りすぎているから、
感覚が動かない。

作品に向かう作家たちばかりではない。
スタッフとしての役割も同じだ。
本当に難しいケースや、どこへ行っても、何をやっても心が閉ざされたまま、
という人を前にした時、どうすべきか。
考えて何かが出来るはずがない。
方法論や技術が何かを出来ることもない。
経験すらもことを難しくするだけだ。
僕なら何も考えない。直にその人に入って行くだけだ。
それで確実に何かが変わる。

生きると言うことは本当はそういうことだ。
僕達は何も持たずに、感覚だけを頼りに世界へ向かっていく。
たくさんのものを貰うだろう。
もらったら、返していけば良い。
そうやってグルグル回っていく。

こんな時代だけど、感覚を取り戻していけば、まだまだやり直せるはずだ。
新しい環境を創っていけるはずだ。
次の時代はまた何もないところから始まらなければならない。

例えば、僕は昔のことに興味がある。
古代の人はどんな世界を生きていたのか。
そういうことは学者が研究している。
僕もかつてはそういう本をよく読んだ。
でも、自分がその領域に入って行った時、全く違うものが見えてくる。
その領域とは古代の人とかそういうことだが、
彼らがどんな風に生きていたのかは、学者や学問では分からない。
感覚はそれを捉えることが出来る。
そして、感覚の方が遥かに正しい。
科学で分からないと言われていることはたくさんある。
それは、その方法では分からないということだ。
人間は本来、感覚を通してすべてが分かる。

人のこころの領域にふれ、それをテーマに実践して来たから、
僕にはその確信がある。

裸になることだ。そうすればすべてが見える。
でも、裸になることはとてもとても難しいことだ。

本当の生き方を見つけよう。
こんな風に生きられるということを、これからの時代を創る人達で証明しよう。

ダウンズタウンを創る。
それに共鳴する人達がいるということは、
みんなが何かを感じ始めているということだ。
人類はこっちの方向へ進むべきではないのか、と。
感じよう。感じたことを信じよう。
そして力を合わせ、繋がりを創ろう。
みんなで創ろう。

2012年8月10日金曜日

立ち止まって考えること

ボランティアスタッフ募集中です。
詳しくは前回のブログをご覧下さい。

今日は今後まとめ役になってくれそうな方とお会いした。

久しぶりに夜に書いている。
というかブログをはじめてから、夜に書いた記憶は2、3度しかない。
この夏は暑い日が続くが、時々、涼しい時間があるので救われる。

7月は多くの来客者をむかえた。
その中には本当に真摯にこの場を捉え、ご自分のお仕事にいかそうとされる方もいた。
立場のある方が私達に深い理解をよせて下さる。有難いかぎりだ。

昔に比べて理解して下さる方、応援して下さる方が増えた。
味方が増えた。

8月は残っている仕事をしている。
纏まった時間にしか出来ない仕事もある。

講演で岐阜に行く以外は東京に居る。
静かな日々だ。
いつもいつも何処かに行って何かをしていなければ気が済まなかった。
何かをしたら次の何かを探した。
留まることが嫌だった。止まることが嫌いだった。
一つの場所にじっとしていられなかった。

7月は後半にみっちり制作の場に向き合ったのに、
今はまた作品に触れていたくてしかたがない。
作家たちと関わりたくてしかたない。
そんな感じになったのは初めてだ。
僕の場合、切り替えが早いので場を離れると、もう違うところにいく。

セミの声って、なぜうるさく感じないのだろう。

かつて僕に毎年のように「夏らしいことした?」と聞いてくる人がいた。
僕はその質問がバカバカしくて嫌いだった。

今年はお盆もアトリエにいる。
お墓参りにも行かない。海にも花火にも行かない。
仕事の合間にこうしてセミの声を聴いているうちに、時が過ぎ、夏が終わるだろう。

留まっていると色んなことが見えてくる。
動き回っていては見えないことも。

毎日変化する悠太の成長を見て、一緒に遊んで。
児童館へ行ってみたり。

ちょうど去年の夏休みから、このブログをはじめた。
夏のアトリエの前に朝から書いていたのを憶えている。
これを書き始めるまでは僕は昔のことは言わないようにしていた。
振り返ることに意味を感じなかった。
でも、一年ほど前から伝える時期、これまでを見直す時期がやってきた。

悩まない、後悔しない、反省しない、振り返らないと、決めて来た。
でも、そろそろそういうことも必要だと思う。

多くの人を傷つけて来なかったか。
疲れさせてこなかったか。
自分が与えられたものを誰かへ与えてこれたのか。
怖がらせてしまったり、緊張感を与えてしまったりしなかったか。
伝えることに熱心になり過ぎて、聞くことを忘れていなかったか。
手伝ってくれた人達に教え過ぎて、自分で見つける場面を奪ってこなかったか。

僕自身がこれまでの在り方を超えて行かなければならない。

もっと力が抜けなければ、周りの人達も本当にリラックス出来ない。

制作の場にしてもここまでのレベルにはどうしてもしたい、
というところまではもう実現している。
これからは自分以外の人に繋げて行く方が遥かに大切だ。
これまでの理想はもうこの辺で良いだろう。

みんなでと思いながらも、1人で突き進む癖が抜けなかったのかも知れない。
これからは本当にみんなでやっていく。
協力し合って、相手を信頼して。
むしろ、ここからが本番なのだから。

勢いが強すぎると言われたこともあった。
周りが疲れるよ、と。
真っすぐだけでは生きていけないよ、と諭して下さる方もいる。
これまでは、本当には聞く耳を持てていなかったのかも知れない。
今年は体調を崩した時期もあった。
何とか仕事には支障をきたさなかったが。
珍しく思うように自分をコントロール出来ないという時期もあった。
これまでのようには行かないなと感じることもあった。
でも、そういうことで自分を見直すことにつながったのかも知れない。

自分はしょうもない人間なのだと思う。
助けてくれた人、教えてくれた人、支えてくれた人がいるから何とかなってきた。
しっかり恩返し出来る人間になっていきたい。

いつも結局思う。
夏は良い季節だ。本当に素敵な季節だ。
暑さでヘトヘトになりながら、
汗でベトベトになりながらそう思う。

色んなことを考えて、思って、
でも生まれた以上すすんでいくのみと思う。

夜の風はきもちがいい。
明日は雨だろうか。

2012年8月9日木曜日

ボランティアスタッフ募集

猛暑が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

しばらくブログをお休みさせていただきました。
色々と書きたいこと、書くべきことはあるのだけど、
今回はお知らせです。

アトリエの新たな体制に熟慮を重ねて来たが、ようやく見えて来た気がする。

その前に、詳細がまだ未決定ですが日にちが近いのでお知らせします。
8月19日(日)岐阜県言語聴覚発達障害児教育研究会にて、
アトリエ・エレマン・プレザン東京の佐久間が講演をおこないます。
場所等まだこちらでも確認がとれておりませんので、またお知らせ致します。

本題に入りたい。
これからアトリエは三重と東京で同時進行で、ダウンズタウンの実現を目指す。
三重でも東京でも協力してくれる人達が必要となる。
東京のアトリエも色々考えてきたが、
一緒に環境を創っていく仲間が必要だ。

これまではスタッフとしてよし子や僕のように、
生活のすべて、人生のすべてをここに注ぐ人材を求めて来た。
でも、この様な生き方は能力の有無とは別に誰にでも出来るものではない。
1人にかかる負担も大きくなりすぎる。
更にはスタッフを抱え込むだけの経済的な余裕もない。
関わった人の人生を左右してしまうから。
こういうのはよし子と僕のところまでで良いのではないかと思っている。

それに代わる方法として、これまで学生チームを創って来たような形で、
ボランティアチームを創りたいと思う。
これからは人数も必要になってくる。
みんなで話し合い、支え合えるチームにして行きたい。

アトリエの活動や制作の場に興味のある方、
私達と一緒にこのプロジェクトを創ってみたいと思われる方は是非、
ボランティアスタッフとして参加して欲しい。

お手伝いをお願いする部分はたくさんあるが、
申し訳ないけれど人件費を捻出することは出来ない。
そのかわり、ここに関わることでたくさん良い経験が出来るのでは、と考えている。
これまで学生達をみてきても、みんな様々なものを吸収していっている。
一緒に創る仲間たちと楽しみながら、このプロジェクトに関わってもらいたい。
参加してもらう人達にはそれぞれに合った関わり方を考えたいと思う。

私達は新しい生き方を模索している。
みんなが幸せで活き活きと繋がりをもって、進んでいける環境を創りたい。
一緒に創る仲間になって欲しい。
お問い合わせは出来ればメールでお願いします。

三重での環境づくりは、ダウンズタウンのどの部分からはじめるか、
考えているが、カフェを最初に創ろうという案も出ている。
人が来て雰囲気を充分に感じてもらえるためには、いがいと良い始まり方かも。
これには協力者が必要なので、相談してみなければだけど。

どこにでもあるものではなく、真に本質的なものにしたい。
ダウンズタウンはすべての人の心の故郷になればいい。

三重での進行状況も、東京でのことも、これから順次、進めながら書いていきます。
是非、ご一緒に夢をふくらませて楽しんで下さい。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。